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第10回
人生を達観したかのような冷めきった心。
日常茶飯事の暴力。
身の入らない学業。
中学時代のTOKIは「大人達が因数分解をして仕事をしている姿を見た事が無いし、化学の方程式が大人になってから必要になるとは思えない」など、中学校の勉強が自分の将来に必要とは全く考えられなかった。
東京大学に入る事を目標にしている訳でもなく、大手の会社に勤められる訳でもない。
「何をしても無駄」とばかりに、ただただ漠然と中学時代を過ごしていた。
2年生ともなれば、普通の家庭環境で育った子供ならば「受験」という人生の最初の難関に向かって動くクラスメイトも出始める。
そういうアクセクした同級生の動きにさえ侮辱の視線を投げかけるTOKI。
(どんな事をしたって、大した人間になれはしない)
TOKIは「みんながやっているから自分もやらなければ」という意識が無く、「一生懸命」という事に対して、とても希薄だった。
そんなTOKIも中学3年生になり、否応なしに受験という難関にぶつかる事となった。
(適当なトコでいいや。自分の学力よりちょっと低いとこに入って適当にやろう)
試験日が、どんどん迫って来ているのに、TOKIはあろう事か、既に私立高校に入学が決まっている連中と麻雀に明け暮れていた。
「お前、良いのかよ、勉強しなくて?」
「あぁ?んなモン適当にこなすから大丈夫だよ」
なんとTOKIは、そんな調子で受験日前日まで友人宅での麻雀に明け暮れていた。
(一生懸命?笑っちゃうね)
人を食ったような、その態度は数日後、一変する事となる。
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