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第13回
TOKI、15歳の春。
高校入学と同時にTOKIはアルバイトを探した。
「自分の学費くらい自分で稼ぐ。そうでなければ偉そうな事なんて言えやしない」
自立心が旺盛で、何より母親に金銭的な負担をかけたくないという思いがあった為、TOKIは15歳で社会に出るという事に何の躊躇もなかった。
年齢を16歳と偽って決まったアルバイトは大型デパートの食品街にあるレストラン。
朝10時から夕方4時半までの6時間半仕事をして、自転車を飛ばして学校に向かった。
学校ではサッカー部の主将をしながら、終業後は同級生と学校近くで深夜までタムロして、くだらない話に花を咲かせていた。
「あのバイクは速いらしいぜ」
「あの女、あの先輩と付き合ってるらしいぜ」
「アイツは中学でもケンカが強かったらしい」
etc.etc.
時間を忘れて語り合い、みんな「明日の仕事の為」に帰宅する。
定時制高校という、ある意味、普遍的でない高校生活をTOKIは楽しんでいた。
しかし、そんな楽しい時も長くは続かなかった。
仕事が忙しいのか、疲れて来れないのか、一人、また一人と同級生はみるみる学校に来なくなっていった。
心配したTOKIは友人に電話し
「お前、学校来ないのかよ?」
「あぁ、もう何か面倒くさくてな」
「それは分かるけど、夜学とはいえ高校くらいでないと後々マズくなるんじゃないか?」
「俺は職人系の仕事だから学歴なんて関係ネェよ。職人は腕だよ腕」
「まぁ、そりゃそうだろうけどよ…」
自分も社会人であり学生でもあるが、こんなに早くから「自分の仕事」というモノに決意めいたモノを抱いている友人を少し羨ましく思った。
TOKIには今の自分の仕事に対して「これが自分の仕事」というような自信は無かった。
電話を切ったTOKIは
「自分の仕事か…」
と、自宅の天井を仰ぎながら溜息交じりで呟いた。
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