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第2回
両親が共働きだった為、弟と妹の面倒はTOKIが良く見ていた。
こんなエピソードがある。
ある日、弟が「お腹が空いたよ。お兄ちゃん」とTOKIに訴える。
TOKIは弟に何か食べさせてやろうと冷蔵庫、台所をくまなく漁った。
しかし買い置きしてあるものは調理が必要なものばかりで、いわゆるお菓子の類は見つからなかった。
時が経つほどに膨らんでくる弟の不満。
それは次第に大きな泣き声となってTOKIを責め立てた。
泣き叫ぶ弟の姿を見て
「う〜ん。しょうがない」
TOKIは外出していた祖母の部屋に行き、タンスの上に佇んでいた貯金箱に歩み寄った。
「あとで、おばあちゃんには僕が謝ろう」
陶器製だった貯金箱を割り、中の小銭を床にブチ撒けた。
金属音を立てて拡散する無数の1円玉、5円玉。
10円、50円、100円の硬貨はほとんど皆無に等しかった。
消費税も無かった時代。
おそらく祖母は財布の中に鎮座して使う事もままならなかった分の硬貨を貯めていたのだろう。
だが幼少時のTOKIにそんな事は想像もおぼつかなかった。
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