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第21回
昨夜の事が頭を離れず、寝不足のまま夜が明けた。
今日も快晴。
朝食を済ませて、街を散策し、旅館に戻って荷物をまとめて、今日の宿泊先である海の家に向けて出掛ける。
海の家は当然みんなが今日を過ごす海と隣接している為、昨夜の事を細かく聞こうにも菊池と二人になれる機会に恵まれないまま陽が沈んでいった。
海の家に戻り、夕食を済ませ、自然とみんなが輪になり、自然と話に花が咲く。
2時間、3時間、4時間、時間を忘れてバカ話。
深夜1時。
菊池が
「おい、そろそろ寝ようぜ。明日の帰りの電車に間に合わなくなる」
どこかホッとするTOKI。
(何だ、何も無いじゃないか。昨日の話はからかってただけなのか?)
「さ、じゃ、今日は男同士じゃなくて男女の組み合わせで寝ようぜ?」
菊池の一言で頭が一瞬、白くなった。
「俺は睦美、長谷川は麻美、静香はお前とだな」
「え、ちょ…」
「何だよ、照れんなよ」
「いや、ちょっと…」
「嫌なの?」
静香が泣き入りそうな声でTOKIに聞く。
「いや、あの…」
「嫌なんだ?」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
「お前、ヒドい奴だな〜」
長谷川が冷やかす。
「もうイイ、私一人で寝るから」
後ろを向く静香。
「あ〜あ、泣かした〜」
みんながTOKIを責める。
罪の意識に苛まれたTOKIは
「いや、嫌とかじゃなくて…」
「恥ずかしいんだよな?」
フォローを入れる菊池。
「ま、まぁ、そうかも」
体温が上昇する。
心臓が胸を突き破るくらい激しく乱打している。
「本当に嫌じゃない?」
振り返り、上目遣いでTOKIを見つめる静香。
「はい」
何故か敬語のTOKI。
全員爆笑。
「さ、じゃ、さっさと寝ようぜ」
明かりを消す菊池。
狭い布団にタオルケットをかけ、全員が眠りに就く。
TOKIの身体から10cmも離れていない場所で横になる静香。
眠れる気がしていないTOKI。
横になって1時間ほどたった頃。
(ねぇ、起きてる?)
小声で静香がTOKIに囁く。
(うん)
とTOKIも小声で応える。
(私の事、どう思う?)
(え?)
(好きか嫌いかハッキリ言って?)
TOKIに体に静香の体が触れる。
もう心臓が張り裂けそうだった。
(好き…かも)
(かも?かもって何?)
(いや…好きです)
(付き合うって事?)
(そういう事になるんじゃないでしょうか)
(じゃ、私に「付き合って」って言って)
(え?)
(言えないの?)
(いや…言えま、す)
(じゃ、言って?)
(つ、付き合って下さい)
(うん、いいよ)
更に身体を密着させてくる静香。
昨晩はロクに眠れなかったが、今夜は一睡も出来ないであろうという事を直感した。
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