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第31回
普通免許を取得して三日ほど経った土曜の夜。
深夜ドライブの準備の為、学校も仕事も適当に切り上げ、TOKIの自宅に集まった。
ただの深夜のドライブなのに、全員の荷物の量は2泊3日の旅行さながら。
車にはカーステレオが付いていなかったので持ち運びできる大型のオーディオから大量の菓子とジュース、漫画やトランプまで。
ボストンバック3つが張り裂けんばかりにパンパンに膨らんでいた。
「おいおい!こんなに荷物持ってってどうすんだよ?」
とTOKIが困惑する。
「道中、楽しみが多い方がいいだろ?いいから、いいから。トランクにちゃんと入る量だろ?ギリギリだけど。なぁ?」
一緒にドライブする女の子達が笑う。
女の子の内、一人は学校の後輩。
もう一人は、その子が連れてきた友達。
どうやら二人は中学時代の同級生らしい。
「さて、出発しようぜ!」
免許を取っていきなりの長時間ドライブ。
まだ携帯電話やカーナビが無い時代。
助手席の菊池が地図を片手にナビゲートする。
いきなり高速道路は危険と判断していた為、全て一般道でのドライブ。
「何時間くらいで着くかな?」
「2,3時間もあれば着くんじゃねぇ?」
後部座席の女の子二人と会話を弾ませながらドンドン南下していく。
途中ファミレスで食事したり、路上で記念撮影したりで、なかなか目的地に到着しない。
深夜2時を回った頃、
「おい、そろそろ急がないと帰りがキツいぜ?」
菊池が言う。
「あぁ、わかってるけど道がよくわかんないな。お前が変に近道ばっか選ぶから迷ってばっかになるんじゃねーか」
「悪ぃ悪ぃ、じゃ、多少遠回りでも良いから太い国道に沿って行こうぜ」
「あぁ」
ほどなく国道一号線に出て、スピードを上げる。
「あれ?雪か?」
フロントガラスから空を見上げると雪が降り出してきたのがわかった。
「ヤバいな、この車スノータイヤ付けてないんだろ?」
「あぁ」
どんどん勢いを増してくる雪。
視界が効かなくなってきた。
菊池が
「おい、ヤバイぞ。今日は諦めて帰らないか?」
「…そうだな。」
と1秒も満たないくらいの刹那、菊池を見て、フロントウィンドウに視界を戻した瞬間、目の前に灰色のモノが迫る。
(ん?何だ?)と思った瞬間!
形容し難い、モノ凄い衝撃が襲い掛かった。
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