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第40回

元々TOKIは乗り物が好きでカワサキ製のZ400GPというバイクとトヨタのMR2という車を所有していた。

週末は車でゼロヨン、首都高速トライアル、バイクでは埠頭でハイスピードでのコーナリング等に興じていた。

それは恋愛に対しても、仕事に対しても、どうにも突破口を見出せない事からの逃避だったのかもしれない。

車、バイクで飛ばしている時だけが、そういう現実を忘れさせてくれた。

平日は仕事、週末は車とバイクのメンテナンスと走り込み。

ただただ、そんな事を繰り返す日々を過ごしていた。

そして10代も終わりかけた、ある日。

すっかり仲良くなっていた寿司屋の女の子から、とうとう告白を受ける。

正直、付き合うつもりはなかった。

しかし、彼女がいて特に困るものでもない。

何より彼女の一途な気持ちに応えてあげたかった。

彼女は良い子だった。

自分が付き合えば、彼女は喜ぶだろう。

恋愛とは掛け離れた感情、完全に同情のような交際の始まりだった。

そんな自分の運命の流れを機に、愛着のあったスタンドの仕事を辞めた。

(一度くらい自分に可能性って云うモノを試してみたい)

そんな気持ちからの行動だった。

時代はバブル全盛期。

(ガソリンスタンドの仕事には、いつでも戻れるだろう)

そんな打算も込みで見つけた新たな仕事は営業職。

就職するなり破竹の勢いで成績を上げた。

1年足らずで営為成績トップ。

TOKIの仕事方法に多くの同僚が興味を持ち、その手法を学ばせて欲しい、と相談が引っ切り無しに続いた。

その根本は「相手の立場になって考える」「自分が買う立場になって考える」という極めてシンプルなものだった。

今現在、C4が所属するKeasler Japan Limited更に法人企業グループの代表取締役CEOまで務めているTOKIの仕事に関するポリシーは、10代の若き頃から今現在に至るまで、微塵の揺らぎも見せていない事がわかる。

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