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第41回
「結果主義」今現在の社会はそうであるが、80年代も終わりかけのこの頃はまだ完全に年功序列というものが一番幅を利かせていた。
どれだけ仕事で大きな取引を纏めても、雀の涙のような報奨金と上司からの褒めの言葉だけ。
TOKIは納得がいかなかった。
金が全てではないが、自分を良いように使われるのは我慢がならなかった。
人間的な繋がりなんて全く見い出せず、ただただ売り子のような毎日。
自分が出した成績を、さも直属の上司が自分の手柄のように話すのも我慢ならなかった。
(誰かの為に頑張りたい。そういう関係が見出せないようなら、やっぱり金だ)
金を超越した人間関係を見出したかったTOKIだが、今の会社にソレは無い。
そんな心情を取引先の仲の良かった人間に吐露すると数社からヘッドハンティングの声が掛かった。
学歴無しでは到底入社できないような誰もが知っている大手の商社から、ベンチャービジネスの旗手まで幅広い業種からの自分を欲する声。
しかし、TOKIはどの企業にも属する気はなかった。
(規模は小さくて良いから、完全に成果主義の仕事)
やったらやっただけ、やらなかったらやらなかっただけ。
そういう仕事を探し始めた。
TOKIの彼女、静江も、仕事に奔走するTOKIを笑顔で応援していた。
実は静江とはあまり会ってない日々が続いている。
元々同情から始まったような関係であったし、この頃のTOKIは熱くなると一心不乱に邁進してしまう感じだったので、静江の事は放ったらかしているのはTOKI自信も認めていた。
しかし、それは将来の為の土台である事を静江に話して理解を得ていた。
静江はTOKIの言う事なら何でも聞くし、TOKIがする事には全て諸手を上げて応援してくれる。
会えない事を不満に思わず、いつも笑顔で応援してくれる、そんな静江をTOKIはいつの間にか誰よりも愛おしく感じるようになっていた。
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