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第44回

バンドの練習と仕事を両立させながらの生活が続く。

20歳になったTOKIは「自分がやっている事にベストを尽くそう」と言わんばかりに日々を過ごした。

次第に、もっと「効率の良い仕事」つまり、自分の要領次第で早く帰れたり、給料もそれに伴う完全歩合制の仕事を探した。

暇を見つけては求人誌を覗き込んだ甲斐もあって、丁度良い仕事を見つかった。

それは「バイク便」。早く仕事をこなせば早く帰れる。

仕事をこなせばこなすほど、歩合で給料がもらえる。(コレだな!)

いつの間にかバンドに魅入られていたTOKIは、バンド中心でモノを考えるようになっていた。

併せてバンド事情にも、すっかり詳しくなっていた。

「Xっていうバンドってスゲェんだよ!」
「いや、ZI:KILLっていうのがいてさぁ」

そんな会話を日々していく中、新ギター率いてのライヴが新高円寺にあるRITZというライヴハウスで行われた。

オリジナル曲も披露したこの日のライヴではお客さんの評価も上々。

恋人の静江も見に来ていた。仕事も順調。

こんなにも楽しく、充実した日々。

しかし、そんな日々も長くは続かなかった。

1990年8月3日、TOKIの運命を大きく変えてしまう日。

TOKIから笑顔を奪い去った運命の日。

C4のTOKIとして生きる意味の根源となった日が、もうすぐ訪れようとしていた。

その日は、いつも通り、朝、仕事に出かけようとしていた。

前日は変わった事が多かった。

しばらく会っていなかった菊池が連絡も無しで突然泊まりに来たり、ずいぶん連絡を取っていなかった友人から久しぶりに電話があったり、(何か変な日だったな)そんな事を思いながら、出社の為にバイクに跨がってアクセルを捻った。
会社について、いつものバイクに乗り、いつも通りの仕事。

いつも通ってる道を、いつも通りに走る。
そして正午をやや過ぎた頃、運命の時が口を開けて待っていた。

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