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第89回
1998年。
インディーズ時代にリリースしたKrankをリメイクした2ndシングルの発売を機に、立て続けに3rdシングル「Masquerade」、初のクリップ集となる1st VIDEO「TEMPEST」の連続リリース。
そして、2nd Album「Higher」のリリースが決まった。
その際のメンバーミーティング時に唐突にベーシストであったJUNNAが言った。
「あのさ、俺、バンド抜けたいんだよね」
「え?」
TOKIは絶句した。
「しかも俺だけじゃない。KAZUSHIも」
TOKIは咄嗟にIZAを見た。
するとIZAは重く口を開き、
「俺も、このままやってて良いものか考えてるんだ」
確かに、この頃のKill=slaydは自分達で好き勝手にやっていた、かつての勢いは無く、ただただ浮きも沈みも無い音楽で生活しているだけの日々。
「辞めてどうするの?」
というTOKIの問いにJUNNAは
「うん、KAZUSHIとは、また新しいバンドを組んでみたいと思ってるんだ」
それを受け、沈黙のKAZUSHI。
どうやら二人の間では既に結論が出ているらしい。
IZAは「俺には、もう分からない」と俯きながら言い、最終的には出た結論に従うとの事。
TOKIはレコード会社や事務所に対しての誠意として、辞する理由を問い正した。
しかし、明確な答えが返ってこない。
業を煮やしたTOKIに対してJUNNAが言った。
「わかった。じゃ、ハッキリ言おう。TOKIだから売れないんだと思う。申し訳ないんだけどね。実は既に新しいボーカルを決めてて、ソイツとだったら売れると思ってるんだ」
そのボーカルとも面識があったTOKIは「本気で言ってるの?」と聞いた。
「あぁ、本気だよ」JUNNAが自信満々で言い放った。
その言葉にはKAZUSHIも頷いた。
それを見た時にTOKIはKill=slaydの解散を受け入れた。
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