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第9回

そんなTOKIの態度を快く思わない連中がいた。

一触即発。

TOKIと彼らが騒動を起こすキッカケは些細な事だった。

「前々からな、生意気だと思ってたんだよ」
「あ?なんなんだ、テメェ!」

休み時間、クラスメイトが見つめる教室の中で、TOKIと相手が怒声を撒き散らす。

相手は、TOKIの事を快く思っていない連中の中でも、ひときわ身体が大きく、TOKIよりも一回り大きい。

互いが胸倉を掴み合い睨みあった。

罵倒を繰り返す中、不意に相手が殴りかかってきた。

その大きな体躯から繰り出されるパンチがTOKIの顔面を直撃。

TOKIは目の前が真っ暗になり、意識が飛んだ。

かつてない衝撃。

意識を取り戻すと、相手は既にその場から離れている。

相手を追いかけるTOKI。

見つめる!

詰め寄る!

が、しかし「テメェ!ブッ殺してやる!」と怒声を上げても拳が出ない。

相手側はTOKIを無視。

ナメられてる!

怒声のボリュームが上がる!が、拳が出ない。

この時、TOKIは恐怖で身体が縛られていた。

今まで、同級生との殴り合いの喧嘩は何度もあった。

ヒドい時は相手の手を押さえつけて金属製のフォークを突き刺して机に縫い付けたり、相手がどんなに謝っても、ひたすら顔面を蹴り続けた事もあった。

だが、今まで受けたパンチとはレベルが違う、意識が飛ぶほどのパンチ。

物凄い衝撃。

TOKIはたくさんのクラスメイトの視線の中、恐怖というものを身体に刷り込まれた。

TOKIは述懐する。

「あの時の悔しさは今でもたまに思い出しますね。でも今では、あの時の悔しさを知った事によって、暴力による悔しさがトラウマになっている人の心を知る事が出来たなって振り返られるんです。屈辱というトラウマから脱却する方法を今の私は知っている。故に今では感謝しているくらいです。何故なら、私がそれを知った事によって、多くの人の心が救えるからなんです。こういったトラウマは体験者でないと絶対に適切なアドバイスが出来ないですからね」

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