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第97回
迷いがなく、未練も無い。
そして
「どんなに貧しくても、どんなに苦しくても、分け隔てなく親の愛に包まれる大多数の命があるのに、それさえ与えられなかった子供達がいる。その子供達の未来の為に」
もう地位だの名声だの、そんなモノに興味はない。
命を費やせる大きな目標を見つけた。
この精神が大きな力となり、2004年は創業以来最高の業績を出し、翌2005年には上半期の段階で更に20%ほど上回るという、いわゆる向かうところ敵無しの状態となる。
その経営手腕は、取引先や接した人間からの口コミで広まり、それを知った経営者団体や雇用団体からも高い評価を受け、講師の依頼やビジネス機関誌のインタビュー、更にはローカルといえどTVの取材さえもくるようになった。
そしてかねてから会社の経営を見ていた顧問税理士からの薦めもあって多種多目的な複数事業を擁するグループ法人という形で登記をするまでに至った。
これが現在のC4の所属レーベル「Keasler Japan Limited」の母体となるConquest Groupの誕生である。
音楽で上手くいかず、母を支える為に始めた小さな会社が、これほどのものになるとはTOKI本人も想像し得なかった。
更にこの頃「思うように仕事が出来る環境設備」という事で自社ビルを取得する計画が持ち上がる。
(会社なんて人の容れ物でしかない)
と捉えていたTOKIは当初あまり気が進まなかったが、
"いずれはこのビルのフロアを使って養護施設が出来るかも"という思いや、
"人に気を使いすぎる祖母が心から安堵できる場所も用意出来るかも…"等々の、
やはりビルだけあって、その用途の可能性は計り知れない。
「よし、やってみるか、いや…絶対にやってやる!」と決意。
その決意が会社に更なる力を与える事となり、時価数億円というビルの取得に向けて動き出した。
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