かねてから「重大発表」と告知されていた10月30日。TOKIの誕生日特番としてプログラムされていたインターネットTVの放送中にTOKIの口から「Affection of Alstromeria」と銘打って2013年1月16日、渋谷O-EASTにてSTEALTHのワンマンライブを行う事が発表された。ライブに至った経緯を最速でインタビュー!





------(ライブの決定を知って)驚きましたよ。


TOKI:


あ、そうですか?(情報公開前に)結構、予想してる人が多かったぽいんですけどね。

------今回はライブを決定するまでの経緯をお聞きしたいです。


TOKI:


いや、普通にライブはやりたかったんですよ。だってフルアルバム出してるんですよ?(注 STEALTH 1st Album「アルストロメリア」)TAKUROにしても、HISASHIにしても、K-A-Zにしても、単純に「ライブやりたいね」「ライブやろうよ」的な言葉はアルバム発売当時からチラホラあったんですけど、あの時、音楽人"TOKI"として何よりも急務だったのはC4の始動であって、C4という自分の家がない時にSTEALTHでライブまでやっちゃったら、帰る家が無くて宿を貸してもらってる状態なのに、更に旅行まで行っちゃっうの?的な感じがして…。もちろん、きっと誰よりもやりたかったけど私から押しはしなかったの。そこで押したらC4を応援してくれてる、待ってくれている方達に申し訳なかった。周りからの期待は凄くありましたけどね。

------そこから、どういう流れになったんですか?


TOKI:


いや、その前に話しておきたいんだけど、まず「STEALTH」っていう存在は私個人にとっての思いが凄く大きいの。前にも言ったけど児童福祉は、あくまで私個人のプライベートな部分での思いであって、賛同や共感は勿論得ているけど、純然たるバンドとして存在するC4全体の元々の思いではない。つまり「私個人としては元々やっていた事」な訳ですけど、個人ゆえに出来る事が小さい事が悩みと言えば悩みがあった中で、数奇な運命を経てC4を始めて、でも活動休止になっちゃって、そこで思い立ったアイデアを進化させた形で包括的にTAKUROが協力してくれて、あれだけのメンバーが集まって、更に自分達の音楽活動が止まるという懸念も払拭された訳じゃないですか。そこまでTAKUROにしてもらって、あそこまでTAKUROに助けてもらって、アルバム出した後に「ゴメン、まだ自分のバンド動けないんだ」なんて言えないですよ。アイツは基本的に自分にも人にも厳しいけど、何故か俺には損得勘定なしで優しいから(笑)俺がそんな事を言っちゃったら、またアイツに気を使わせちゃうのは分かってたの。だからまず自分的には「絶対にC4の始動」っていう流れだったんです。

------はい。TOKIさんのそういう部分は良く分かります。


TOKI:


え?あぁそう?まぁまぁ、それで自分達もギタリストを当然必死で探してたんですけど、GLAYチームもK-A-Zもホント色々ギタリストを紹介してくれた中で、結局サポートでラクリマHIRO君(L'acryma christiのギタリスト:HIRO氏)メインで活動は開始したけど、やっぱサポートなんでね。本格的な復活では無かったから、活動しつつも「早く何とかならんかな」みたいな思いはずっとあったの。

------それで昨年のX'masに…


TOKI:


そう、孝佳の正式加入が決まってね。C4が「完全復活」と銘打つ、つまり「俺達にも家が出来た」ってなった訳だけど、やっぱりライブも大事だけど自分的にアルバムの制作を急ぎたかったの。だってやっぱ、ねぇ?それが無いと復活の代名詞と言うか何と言うか、そこを頑張らないと「完全復活」という言葉が名実共に自分の中で固められなかったんですよ。

------そして6月にNEW ALBUMが出て…


TOKI:


完全体お披露目ライブを4月にやって、6月にアルバム出して、発売記念ライブやって、北海道、大阪と地方のライブも決定したっていう流れの中で、レコーディングを終えた「Centurion 4」のモックアップ(制作の途中過程のサンプル)をTAKUROん家で二人して聴いて、聴き終わった時の完成度とかの話の中で「STEALTHでライブやろう」って自分で切り出したんです。

------TOKIさんとしては、やはりSTEALTHのライブはやりたかったんですね?


TOKI:


そりゃそうですよ。って言っても、「音楽人としてやってみたかった」みたいな意識も勿論あるけど、そういう要素よりも私が1月16日に一番見せたいのは、やはり、人気や技術の枠を超えて、一つの思いに対して結集し、立ち上がってくれた男達の姿なんです。だって普通はあり得なくないですか?TAKUROとかHISASHIなんて、数ヶ月前に10万人規模のライブやった男達なんですよ?K-A-Zにしたって武道館やそこらで、しょっちゅうやってるじゃないですか?もちろんJunji君やTomoi君だって、かつてはホールクラスのバンドをやってた訳で。とにかく、そういう男達が金だのメリットだのを超えて、親の愛に逸れた子供達の為に一つになったのがSTEALTHじゃないですか?CDでもなく映像でもなく、そういう男達の実際の姿、リアルを見せたいんです。

------その中心人物はTOKIさんという事はTAKUROさんも仰ってましたよね?


TOKI:


いや、私は、こんな個人的な事にまで皆の力を貸してもらっている訳ですから、自分に対する評価は…あんまりね(笑)そんな風に思ってもらうのは、あまりにも勿体ないし申し訳ない。私個人では、あんな事は出来なかった訳ですから、何回も言ってるけど私はただのキッカケでしかないんです。私が望む事と言ったら音楽の多様性という面で、いつかどこかのバンドマンが私達のように人気や技術の枠を超えて「STEALTHみたいのやろうぜ」なんて思ってくれたら、こんなに嬉しい事は無いです。そういう事を思ってもらうには思ってもらえるだけの事をしたい。アルバムを出した、誰でも分かるような具体的な支援をした、あと残されているのはライブだけでしょ?

------想像するだけでワクワクします!


TOKI:


バンドってのは、音楽がカッコいい、ライブがカッコいい、と言うのが存在意義であるとは思うんですけど、STEALTHの男達は更に「生き様がカッコいい」と言わしめたい。「後世に残すべく」という思いを込めて頑張ります。その思いと同じくらい、アルストロメリアを買ってくれた方々に御礼の意味を込めてのライブとなります。

------ステージに立つのはアルバムの参加したアーティスト全員ですか?


TOKI:


あぁ、さすがにソコは同じパートが被ってたりもするので、ライブに則した選抜メンバーになります。本当は全員出て欲しかったんですけど、メンバーが変わるごとにセットチェンジをしちゃったりすると、さすがにライブの流れに澱みが出ちゃうかなという懸念があったんです。だって「アルストロメリア」にはTAKURO、HISASHI、K-A-Zと、ギタリスト3人。ベースがJunjiくん、佐久間さん(佐久間正英氏)、紺野くん(紺野光広氏)で3人。ドラムがTomoiくんと永井さん(永井利光氏)、キーボードが永井誠一郎さん、杉山圭一、佐久間さんも弾いてくれてるとこがあると思う。さすがに澱みなくライブを進行するにはキツいんじゃないかって話になってね。

------では1月16日はどのようになるんですか?


TOKI:


とは言え、なるべく「アルストロメリア」の世界観を忠実に出したいので段階的な演出を考えてます。決定している出演メンバーはTAKURO、HISASHI、K-A-Z、Junji、Tomoi、永井TOSHIさん、永井誠一郎さん、他の方はまだライブの流れを判断しての調整中です。演奏曲に応じた演出を考えてますから、一気に全メンバーが出てるという感じではなく、あくまで段階的にって感じかな。今はこれ以上は言えないです。

------当日までのお楽しみって事ですか?


TOKI:


そういう感じになりますかね。

------STEALTHのライブが決まって、TOKIさんの率直な感想とかってあります?


TOKI:


まぁ「何事もリアルに」っていうところかな。過去のインタビューでも言ってた事だけど、昨今、特に震災前は何事にもリアリティが欠如しちゃってる感があったと思うんですよ。募金するにしても、そのお金がどういう風に役立ったのかが分からないじゃないですか?実感がまるで無いというか。でも、先の東日本大震災というリアルで人々の危機意識が大きく変わったように、やはり人を動かすのは「リアルさ」なんですよ。「アルストロメリア」をリリースして感じたリアルっていうのは「あぁ、チャリティーっていうのは、売名行為って叩かれる事と一対なんだな」って事とか(笑)施設の子供達の笑顔を見る為には叩かれる事も併せて覚悟しなければならない。更に自分の金銭的な体力も大きく奪われる事も知りましたね。俺が何でもかんでも「この手で、直接」ってやっちゃうもんだから他の事が何も出来なくなるんだもの(笑)でも、それだけの事を費やした甲斐はありましたよ。あれだけ子供達に喜んでもらえたんだもの。あの子供達の屈託ない笑顔を見る為には、そりゃ相応のモノを払わなけりゃね。

------売名行為なんて言う人は、きっと人助けなんか出来ない人達ですから...


TOKI:


いや別に私は何と言われてもいいの。それで子供達が喜ぶならね。だからさ、そういうのはワンセットなんですよ。良いところ取りは出来ないモノなんです。それが厳然たるリアル。あとさ、人助けなんて出来るに越した事はないけど、「何が何でも絶対にしなくちゃいけないモノ」とまで言われればチョット違和感を感じるじゃないですか?したい人だけやればいいの。その点「アルストロメリア」はCDを買ってくれるだけでいいっていうところがポイント高かったですね。まぁね、こんな世の中だし、自分の事で手一杯っていうのは別に恥ずかしい事でも何でもない。強制でやるってのもおかしな話ですからね。

------確かに、そうですね。でもバッシングする必要はあるんですか?


TOKI:


…そこ突っ込んできますね(笑)まぁ、でもバッシングったって、面と向かって言える人はいないんじゃないかな?ああいうのはネットでコソコソ匿名でやるものじゃないの?そういう人は"別に何かが貰える訳でもないのに凄い細かいエネルギーを持ってるな〜"とは思うけど。だって話の中身が全く無いんだもの。チャリティーをしたら君が何か困るのか?とかね。とにかく、そんなものですよ?そんな空っぽでイジましいなものが、私の信念であったり、そこに共鳴してくれたTAKUROをはじめとする参加メンバー全員、「アルストロメリア」を買ってくれた方々全ての中に在るものが揺るぐ筈がない。そよ風じゃ木は倒れないよ?

------人を助けるには強さが必要という事ですね?


TOKI:


いや、別に(笑)さっきも言ったじゃないの!そういうのはワンセット、したい人だけすればいいだけの事だよ。家を建てるのなら家が雨に濡れる事は避けられないし、人が住めるだけの強度は必要でしょ?そんなようなものですよ。「当たり前のモノが当たり前に必要だ」ってだけです。あとさ、「助けた」なんて大層な事は思ってないですよ?ちょっと困った事があった。それを何とかするアイデアがあった。ただ、それだけですよ。あんまり難しく考えない事です。しぜ〜んに、しぜ〜んに(笑)あの、「リアルさ」に話を戻していい?

------すいません(笑)どうぞ!


TOKI:


そのさ「リアル」っていうモノも記憶から流れゆくものじゃないですか。人間ってのは良かれ悪かれそういう風な記憶構造で出来ていると思うんです。先ほど「後世に残すべく」とは言ったけれども、それは自分の俗な願望ではなく「そういう気持ちや矜持を持った生き方は、きっとアナタ自身をも幸せにする大きな要因となる」って事が言いたいんですよね。つまり「アナタ自身の為に残して欲しい」という事なんです。人の優しさというものに対するリアルな姿、即ち「二歩先の視点」とか「清濁併せ呑む」とか、目先だけじゃ成り立たない、綺麗事だけじゃ成り立たない、そういう葛藤の先にこそ尊いものがあるんだ的な。STEALTHという集合体も「まさにソレ」なんで、そういったリアルさを体感してもらう一翼を担えればって事なんですよ。

------…深いですね。


TOKI:

「優しくされたい」「愛されたい」と望むなら、まず自分が人に優しくしないと話のロジックがおかしくなるじゃないですか。「自分はして欲しいけど自分はしない」ってな感じだと、自分と寸分違わぬ価値観を持つ人間が二人いたとしても、目の前の「優しくして欲しい」と願う自分にさえ優しくはしてあげられないって事でしょ?

------ええ、仰るとおりです。


TOKI:

ん?なんか私の悪い癖が出てきたかな?(笑)こう、何でもかんでも掘り下げすぎて、こんがらがってくるという(笑)

------いえいえ!そんな事は無いんですけど、そういう事はどこかで勉強とかされたんですか?実は前々から思っていたんですけど。


TOKI:

え?勉強って?学校とかで?

------はい。


TOKI:

してる訳ないじゃないですか(笑)

------TOKIさんのTwitterとかもフォローさせて頂いてますけど、すごく深い言葉をTweetなさる時があるじゃないですか?


TOKI:

あぁ、坊さんTweetね(笑)

------ああいった言葉も全て自己流なんですか?


TOKI:

そうですよ、って言うか、昔からこんなんじゃないんですよ。…う〜ん、やっぱり交通事故に遭ってからじゃないですか?その頃から付き合いのある友人には言われますよね「お前は本当に事故から変わった」って。

------[-sickbed-]ですね(※STEALTH 1st Album「アルストロメリア」に収録されている楽曲)


TOKI:

そうですね。あの時はとにかく2年間も寝たきりだったんで、考える時間が滅茶苦茶ありましたからね(笑)しかも死ぬかもしれないっつー葛藤と、途方も無い憎悪の中だったんだけれども、そんな負の感情は身体に良くないから必死で何とか整理しなきゃいけなかった。何と言うか、「真剣」になれてたんでしょうね。「考えなきゃ本当に死ぬ」ってくらいでしたからね。真剣にならざるを得なかったとでも言うか。本当に真剣という境地に至ってたと言うか。あそこの領域に手を突っ込んじゃったから、こんな面倒くさい人間になっちゃったんですかね(笑)

------TOKIさんのTweetって本当に目から鱗が落ちる時ありますよ。


TOKI:

そうですか?いやいや、でも、あの時は「自分を幸せにしてやりたかった」っていう思いが根幹でしたからね。結果、あそこで運命にブッ叩かれたからこそ幸せってものを感じれるようになったし、何と言うか、その方法も何となく分かるようになったと言うか。応援してくれる方で私なんかに迷いや悩みを明かしてくれる人がいるんですよ。その時に、何と言うか…「分かんない」とかじゃなくて、自分なりにちゃんと答えられるんですよ。「それは、こうすれば良いんじゃないかな?」みたいなね。そういう時に、僭越ながら「それなりに私も色々な事を経験してきたんだな〜」とか思うんです。で、それが誰かの多少なりともの支えになったりする。でもこれは私に限らず皆さんに言える事でね。皆さんの経験、特に辛い感じの事は"そういう力を秘めてる"という事を改めて知って欲しかったんです。これも「二歩先の視点」に通じる事ですね。

------TOKIさん流の人間学ですね。


TOKI:

いやいや、そんなに大層なモノじゃないけど(笑)辛いと嘆く事は目の前の感情でしかない。でも二歩先の視点で捉えれば、それは誰かの支えになれる力を持っているっていう事が分かる。福祉もそう。誰かに優しさを分けてあげるという事は、誰かに優しくしてもらえる可能性を生み出す大きな要因となる、みたいな。それこそ売名行為と呼ぶ人も、ちょっと考えれば、文字通り「名前を売りたい」なんて思ってるだけの男にTAKUROやHISASHI、K-A-Zやらの海千山千を乗り越えた男達が協力なんかする訳ないじゃないですか。それを言うって事は参加メンバーの眼力や人間性まで否定する事になっちゃうんですよ。そこまで頭が回って喋ってるとは思えないけどね(笑)私にとってのSTEALTHとはね、先ほども触れたけど、音楽の多様性という面においてのモデルケースとして在る。誰も困らずして親の愛に逸れた子供達の笑顔に繋げられたじゃないですか?支援においてもそうだった。ならば復興においても、不況に対しても、そういう事が可能ではないか?という考えに繋がるかもしれないじゃないですか?

------すごく深く考えてらっしゃるんですね。頭が下がります。


TOKI:

でもね、こういう小難しいのは根っこにだけあればいいと思うんです。イヤですよ、年がら年中こんな眉間にシワ寄せて真剣な話しかしないのは。メンドくさい(笑)いつだってユーモアを忘れたくないし、本能的に楽しみっていう部分も凄く大事にしたいです。公のところではアレだけど、プライベートのところでは結構やったりしてるんです。この前もJIROとHISASHIとTAKURO、ドラムも永井さんでNIRVANAのカバーとかやったんですよ。要は私以外がGLAYって事なんですけど、歌いながら(公にやったら武道館とか楽勝なんだろうな〜)とか思ってましたね(笑)でもまともに見てくれてたのはウチのヒロくん(C4マネージャー:中島博吉氏)くらいで、ステージの前には酔っ払ったテッコ(GLAY:TERU氏)と、テッコの親父くらいしかいない、とか(笑)K-A-Zにしても、この前ライヴを見に行ったんですけどノリが凄いんですよ。ただ見に来たアーティストとかにイキナリ「ちょっと出て弾いてよ〜」とか言うんですよ。この前の生贄は人時くんだった(黒夢:人時氏)終演後に「ねぇねぇ、TOKIくんって洋楽だとどんなの歌えますか〜?」とか聞いてきたから、私も遠からず生贄となるでしょう(笑)永井TOSHIさんとも函館のBarで二人でやって、聞いてくれてたのは酔っ払いのサラリーマンしかいなかった。しかも多分、寝てた。あ!それは前にブログに書いたかな?まぁ、そんなのばっかなんですけど(笑)そういうのの「公版」みたいなノリの方が好きだったりしますしね。とにかく1月16日は楽しく、楽しく、やりたいです。